法人税及び地方法人税(譲渡)
column:土地と建物の合計額で取引した場合
column:土地と建物の合計額で取引した場合
保有する更地の上に建物を建築する場合などは、建物にかかった費用を容易に判別できますが、中古物件などを購入した場合には、土地と建物の合計額で取引する場合があります。
このような場合には、契約で土地建物のそれぞれの売買価格が明記されていることが望ましいですが、実務上は明記されていない場合もあります。
先述のとおり、土地の譲渡は非課税ですので、建物部分についてのみ消費税が課税されることになりますが、建物代金はどのように計算したらよいのでしょうか。
この点、売主側では、建物の未償却残高が判明しているため、未償却残残高を建物価格とし、残額を土地の譲渡価格とする処理が一般的です。
一方で、買主側は、このような情報がないため、合理的な方法で土地と建物のそれぞれの価格を計算する必要があります。
この点、契約で土地建物のそれぞれの比率が明記されていない場合には、売買時点の時価で按分することになりますが、①固定資産税評価額の比率、②相続税評価額の比率、③専門家(具体的には不動産鑑定士)に時価を算定してもらう方法などが考えられます。
実務上最もよく利用されている方法は、取引金額を土地と建物の固定資産税評価額の比率で按分するという方法です。しかしながら、固定資産税評価額は、土地は公示価格の概ね70%程度の評価額が付されていて、建物は評点方式で再調達原価の40%程度の評価額になるので、この比率で按分するとやや土地の価格が過大となる傾向があります。
また、相続税評価額の比率で按分するという方法は、土地の相続税評価額を財産評価基本通達に基づいて算定する必要があり、また、固定資産税評価額より相続税評価額のほうが土地価格が大きくなる傾向がありますので、固定資産税評価額の比率で按分するよりさらに土地の価格が大きくなります。
最も実態に近い按分方法は、不動産鑑定士に土地又は建物の価格を算定してもらう方法ですが、鑑定評価を取るとコストがかかります。
物件の買い手側の利害としては、建物部分の消費税が仕入税額控除の対象となるため、建物の価格が多いほうが有利です。また、建物部分が多いと減価償却できる部分も多いため、キャッシュフローが回りやすいためやはり建物簿価が多いほうが良いということになります。結局のところ、物件の規模や消費税の価格、減価償却等を踏まえて合理的な按分方法を選択していくことになります。
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