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2.毎月帳簿を作成し、現預金の動きを把握しましょう

2.帳簿作成

新しく法人を設立したら、最も意識するべきことは「お金の動きを正確に把握すること」です。お金の動きを把握するうえで、毎月の経理(帳簿作成)は必要不可欠です。ここでは最低限、毎月やるべき経理について解説します。

2-1.社長のお金と会社のお金を区別しよう

会社を設立したら、社長個人のお金と会社のお金を明確に分ける必要があります。例えば取引先と食事し、社長個人の財布から支払った場合、必ず領収書を受領し、後で会社の経費として精算しなければなりません。この作業を怠ると後々面倒なことになりますので、週一度や月一度など定期的に精算日を設け、会社と個人間できちんと経費精算をしましょう。

2-2.毎月領収書をまとめて管理しよう

事業に関するモノやサービスを現金で支払ったら、必ず領収書を受け取り、月ごとに白い紙やノートに貼るか、ホチキスでまとめてクリアファイルにいれておきましょう。領収書の管理は、支払いの事実を客観的に証明するためであり、経理の基本中の基本です。領収書の但書きは、「品代」などの漠然としたものではなく、「文房具」や「書籍」など仕訳ができる程度に具体的に書いてもらいましょう。詳細が明示されていないものについては、「いつ、どこで、だれと、どんな目的で」そのお金を使ったのか、空いているスペースに記載しておくと便利です。なお、最近のレシートには店名や日付、品目が明示されており、十分証拠能力があるとみなされています。そのため保管はレシートでも問題ありません。領収書やレシートの保管期限は税法上7年間です。それまではきちんと管理しておきましょう。なお、交通費など領収書やレシートがないものについては、市販の出金伝票を使い、日付、支払先、支払金額などを記録しておくようにしましょう。

 2-3.毎月帳簿をつけよう

日々のお金の動きを帳簿に記す「記帳」は、会社の経営を行ううえで大切な業務です。毎月時間を割いて記帳を行い、会社の財政状態と経営成績を正確に把握しましょう。帳簿にはいろいろな種類がありますが、毎月最低限必要なものは、補助簿である①現金出納帳、②預金出納帳、③売掛帳、④買掛帳、⑤固定資産台帳と、主要簿である①仕訳帳、②総勘定元帳の合計7種類です。

2-4.5つの補助簿をつけよう

補助簿1 現金出納帳

現金出納帳とは、会社にある現金の出入りと残高を記録したものです。経費を現金で精算したり、給与を現金で手渡ししたり、モノやサービスを現金で支払ったら、必ず現金出納帳をつけましょう。現金の出入りは時間がたつと忘れてしまいがちなので、できれば毎日・毎週こまめに記録し、帳簿の残高と実際の現金の残高が一致しているか確認しましょう。記帳の際には必ず領収書やレシートなどの証拠を残しておくようにしましょう。

 補助簿2 預金出納帳

預金出納帳とは、銀行口座別に預金の動きを記録したものです。普通預金であれば通帳、当座預金であれば当座勘定照合表などの証拠書類を参考に、毎週もしくは毎月、預金の動きを預金出納帳に記載しておくようにしましょう。

 補助簿3 売掛帳

掛け取引の場合、取引先との間で取引が成立してから売上代金が入金されるまでにタイムラグがあります。売掛帳とは、未収になっている売上代金(売掛金)の動きを記録したものです。取引先別に売掛金の発生と入金の履歴を記録することで、入金予定日や入金遅れを把握できます。請求漏れや入金漏れを防ぐために、毎月記帳するようにしましょう。売掛帳のつけ方は、ひとつの取引が発生したら、発生日と入金日の2回記帳を行います。発生日の考え方には色々ありますが、請求書の日付などで統一するとよいでしょう。

 補助簿4 買掛帳

掛け取引の場合、取引先から請求書を受け取り、実際に支払うまでの間にタイムラグがあります。買掛帳とは、未払になっているお金(買掛金)の動きを記録したものです。仕入先別に買掛金の発生と支払いの履歴を記録することで、支払予定日や債務残高を把握できます。支払い漏れや二重払いを防ぐために、毎月記帳するようにしましょう。売掛帳と同様に、ひとつの取引が発生したら、仕入日と支払日の2回記帳を行います。仕入日の考え方も、売掛帳と同様に統一ルールを設けるようにしましょう。

 補助簿5 固定資産台帳

車やパソコンなど、購入してから数年にわたって使用する器具備品を固定資産といい、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産の3つに分かれます。これらの取得日や取得価格、償却方法について記載したものが固定資産台帳です。固定資産台帳は、減価償却費の計算をするうえで大切なものです。固定資産を購入したら忘れずに記録するようにしましょう。

2-5.複式簿記で仕訳帳をつくろう

記帳には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。単式簿記とは、現金の増減を収入と支出に振り分けたものをいい、家計簿やお小遣い帳などが代表例です。単式簿記は記録が楽な一方で、種類の違うお金の動きを記録することはできません。一方、複式簿記とは、現金や預金、入金予定のお金など、すべてのお金の動きを日付順に記録したものをいいます。一つの取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の二つの側面にわけ、それぞれ「資産」「負債」「純資産」「収益」「費用」のいずれかに属する勘定科目を用いて記録していきます。資産と負債はストック(財政状態)、収益と費用はフロー(経営成績)をさし、純資産とは資産と負債の差額をさします。このフローとストックをバランスさせるのが複式簿記の原理です。したがって、借方(左側)には、資産または費用が、貸方(右側)には、収益または負債が記録されます。(「減少」の場合は借方と貸方が逆になります。)

たとえば、ある会社から10万円分の原材料を仕入れ、1か月後の10月1日に買掛金10万円の支払いを現金で行い、その取引を帳簿に記載する場合、単式簿記では10月1日の欄に「支出:10万円」としか記載できません。この場合、現金10万円が減ったという結果しか帳簿からはわかりません。一方、複式簿記であれば10月1日の欄に「借方(左側):買掛金10万円」「貸方(右側):現金10万円」と記載しますので、現金10万円で買掛金を支払った、すなわち負債(買掛金)の減少と資産(現金)の減少という財務状況が一目でわかります。この、一つの取引を借方と貸方の各勘定科目に振り分ける作業を仕訳といい、すべての取引を日付順に記録したものを仕訳帳といいます。この仕訳帳をつくることが、毎月の経理事務のメインイベントです。仕訳は一見複雑にみえますが、パターンさえマスターできれば、会社の財務状況を正確に把握することができます。青色申告の会社は複式簿記で記帳を行う必要がありますので、きちんと仕訳をマスターするようにしましょう。

2-6.総勘定元帳をつくろう

仕訳帳をつくったら、次は総勘定元帳をつくりましょう。総勘定元帳は、仕訳帳を勘定科目別にまとめたものです。会計ソフトを使用していれば、総勘定元帳は仕訳帳から自動的に作成できます。会計ソフトを使用していない場合は、仕訳帳に記載されている勘定科目を抜き出し、まとめ直しましょう。 

2-7.記帳は発生主義で行おう

全ての記帳は、原則「発生主義」に基づいて行いましょう。発生主義とは、取引の事実が発生した時に計上するものです。(対義語として、現金が動いた時点で計上する現金主義があります。)たとえば、3月に商品を売上し、4月に入金があった場合、現金主義では4月に売上を計上しますが、発生主義では売上の事実が発生した3月に売上を計上します。3月決算の会社の場合、3月に今期の売上として計上されるのか、4月に翌期の売上として計上されるのかは財務諸表に大きな影響を及ぼす重大なイシューです。記帳は、実際のお金の動きではなく、商品やサービスの動きで判断する「発生主義」で行うようにしましょう。

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