16.相続時精算課税制度
贈与により財産を取得した場合に、受贈者が贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者のうち贈与者の直系卑属(子や孫)である推定相続人又は孫であり、贈与者が贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母又は祖父母である場合には、この制度を選択することにより、特例を選択した年度以降の各年度の贈与につき2,500万円まで非課税、2,500万円超の部分は一律20%となる制度です。
相続時精算課税は受贈者が贈与者ごとに選択する制度ですので、相続時精算課税制度の選択をした贈与者以外の者から贈与を受けた場合には通常の暦年課税が適用されます。
この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、暦年課税へ変更することはできません。
この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算し、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除します。
(1)制度のメリット・デメリット
相続時精算課税の適用メリットは、収益物件等の場合に生前の収益を予め移転させておくことができることや、生前の意思によるものであるため所有権の移転が完了しており遺産分割の対象とならないこと、課税時期が前倒しされるため物価上昇時には課税価格が据え置かれること等が挙げられます。
一方で、暦年課税の基礎控除がなくなってしまうことや、小規模宅地等の特例の適用ができないこと、相続ではなく贈与であるため不動産取得税や登録免許税が軽減されないこと等が挙げられます。
(2)適用手続き
相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子又は孫)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に相続時精算課税選択届出書を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。
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