17.資産管理会社を利用した相続対策
所得税や相続税は累進税率となっており、資産はなるべく分散して取得したほうが税制上は有利となります。しかし、個人資産の相続対策の場合、分散して取得するためには養子縁組等をして法定相続人を増やすこと等が考えられますが、制限があります。また、不動産等を保有する場合、保有する不動産が多くなった場合や、賃貸収入が多額となる場合には、相続税や所得税の税率が上昇していくため、承継することが制度上難しくなっています。
このような場合に検討されるのが資産管理会社です。資産管理会社は諸種の形態がありますが、その効果は生前の所得分散のための対策と、相続税の課税標準の低減のための対策に分けられますので、よく資産状況や目的を検討のうえ、最適な設計をしていく必要があります。
<生前の所得分散としての資産管理会社>
・役員報酬をお子さんやそのご家族等に支払うことや、退職金を支給することで所得を分散することが可能です。
・社会保険の適用事業所となることも可能です。
・事業関連の経費を損金算入することができます。
・配当等の益金不算入の制度を利用できます。
・個人と異なり不動産や株式等の分離課税制度がなく、損益通算が可能です。
・欠損金の繰越期間が個人と比較して長くなります。
<相続税の課税標準の低減(ストック対策)>
資産管理会社に不動産等の資産を保有させた場合、非上場株式の評価方法に類似業種比準価格が含まれる場合には、類似業種比準株価が純資産価格より低い場合が多いため、個人として保有する場合との対比において評価額が大幅に低減される場合があります。
但し、土地保有特定会社や株式保有特定会社等の特定の評価会社は、純資産価格方式で評価することとなりますので、個人保有との対比において差異がない場合もあります。
<資産管理会社の注意点>
・保有型資産管理会社を作成する場合に、個人から管理会社への物件移転時に多額の譲渡所得税等が発生する場合があります。
・管理会社の保有資産が値上がりした場合の譲渡益について、個人との対比において実効税率が高くなる場合があります。
・移転した資産については、相続発生時に小規模宅地等の特例等の各種特例の適用がありません。
・資産管理会社から保有不動産を売却した場合には、個人の長期譲渡所得の軽減税率の特例や、自宅を売却した場合の3,000万円の特別控除などはありません。
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公認会計士/税理士/不動産鑑定士 西本 隆文
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